あの日、病気が始まった・・・

今思えば、平成21年の12月頃から身体に異変があったのかも知れない・・・・

あの頃は釣りが大好きでよく勝浦の堤防にアジやサバ、イワシなどを釣りに出かけていた。

いつもより手がカジかんでいるのか何となく餌が付けにくかった。

平成22年1月。何か胃の調子が悪い・・・

すぐに病院に行って胃カメラを撮ってもらった。その頃には手の握力が弱っている気がしていたが、

2月に入ってからMRIを撮った結果は特に関連性は無いと言われた。

5月になっても握力の違和感は消えない・・・ むしろどんどんと弱くなっている気もする。

6月に入り、神経内科の先生から大学病院での精密検査を進められる。その頃にはシャツのボタンを止める事が不自由だったり、箸を上手く開けなくなっていたり、指と指を開く時に力が入らないなどの症状が出ていた。

7月。大学病院の神経内科で5人の先生に囲まれながら2時間半もあちこちに針を刺された。とても辛く痛いが仕方が無いので我慢していた。数日後には呼吸器系の検査も行った。この間も何か手の感覚がオカシイ・・・

気味が悪い感じである。日に日に自分の思い通りに動かなくなっている気がする。

ある日、先生から更に詳しく検査する為に入院が必要と説明された。

8月に入り入院したのだが急に体重が落ち始める。多少は覚悟していたがそれにしてもどんどん痩せている気がする。

平成22年8月13日 大学病院から病名を告知された。

病名「筋萎縮性側索硬化症(きん いしゅくせい そくさく こうかしょう)」

通称で A L S と言う難病の一つとされる病であり、原因などは解明されていない。

運動神経を司る神経細胞「運動ニューロン」と言うものの病気と診断された。運動の指令を出す細胞が落ちてくると筋力が低下し、筋肉が小さくなっていく。検査の結果、脊髄の運動ニューロン迄の伝導が遅くなっているとの事。脳から脊髄(上位運動ニューロン)と脊髄から筋肉(下位運動ニューロン)の両方に障害があるとの事。

正直言って、とてもショックだった。

原因が解明されておらず、治療方法も判明していない。経過を見守るしかないとの事。

ここから、私のALSとの闘いが始まりました。

9月初旬。外を歩いていたらいきなり転んでしまった。自分では何故転んだか判らない。これがALSと言う病気の怖いところ。意識とは別に身体が言う事を聞いてないのだ。

難病と言えばそれまでだが、自分の気持ちとしてそう簡単に割り切れるものでは無い。とにかく気力が大切だと考えた。クヨクヨせずに前向きに積極的に向き合う事を決めた。気がつけば秋も終わろうとしていた・・・

 

(株)金子電気
代表取締役 金子朝男

 

平成23年6月頃までは何とか好きな海釣り川釣りにも楽しく出かけていた

勿論わきまえて小物釣り、道路のガードレールまたぎにくい程度で車の運転にはまだ自信があった。 時には堤防で、時にはコンビニ駐車場でもろに転倒し顔面血だらけでもやめられなかった。 実際にこの病気が歩み出したのは、それからややしばらく季節を経て 時間をかけて、日にひに 体に感じない速度でジワジワと少しずつ進みあるいは戻り 一喜一憂しながら進んでた。 手の指先から始まり手首、同時に足首の動きたまに膝関節が(ガくッ!)急に力が抜けてしまう事も 有り、ベット・トイレの立ち上がりも不自由に成ってきたのが約1年後 ベットから起きるには電動背中を起こして・トイレは家族を呼んで腰バンドを引っ張ってもらい・お 風呂の介助これから先どうなるのだろう深刻な状態でもあった。 若かりし頃の伊豆の島々に渡って波浪と追いかけっこ岩場を夢中で飛び歩ってた・・・お陰さまで 未だに筋肉のお釣りも残っていてくれている、大事に使って行こうと思う。

平成24年初夏 ・・・・

此処で私にとって異変が起こった、この体験をお話したい ・・・・ リハビリー1週間のサイクルも定着しホボ安定心も落ち着いてきた ある日理学療法士の先生の ご提案があった 、それは女性方が足の指にマニキュア塗るときゆびの間に挟む(足指パット)                        8 が有り足の健康にも良いこと書いてあるそうだ、教えに従って(百均で売っている)まさかこんな事とは思い 乍ら病気の身、何でも謙虚に受け止め挑戦と、いち日に1回10~20分くらい取り付けようすを見た。 何の変哲も無いと三日目くらい 外した時の変化・・・指の付け根の動きが軽く成って来てるみたい な感覚だ、アレッコリャ何なんだろう?しばらく続けてみようそんな気持ちでやり出した。 なぜだか訳は分からないが2日に1回くらいで1ヶ月経った、眠っていた足が動き出したようだ、足 でテイッシュがつまめる、指も僅かながら開ける感激だ! 今ではベット・トイレ・湯舟全てひとりで立ち上がれる、まさに何でだろう?足、指の踏ん張りも効くよう に成ってきた。少々けつまずいても踏ん張りが効いているそれ以来転んでいない。 病気の中での貴重な体験嬉しくなって会うひと毎に話しをした。耐久力は無い、過信しては良くない が、杖に頼らず出来る部分もある。 現在も尚々進行形・・・・ 全てがこの様に成るとは思わないが、私にしては前向きな考え方・素直な心での受け止め方などと 大きな収穫プレゼントを頂いた感謝感激である。 26・1・31 金子朝男 記